ウォッチメン

結論から言うと面白かった。まあ例によってたいしたことを書くわけじゃないんだけど、一応「続きを読む」で。
まあ続かないところにも書いたけど、結論から言えば結構面白かった。163分と言う時間を(事前に)見たときはうへえと思ったんだけど、俺みたいに映画慣れしていない人でも最後までだれずに見ることができたし。月並みと言えば月並みなんだろうけど。アメコミヒーロー物に造詣の深い人ならまたいろんな部分で楽しめるんだろう。
で、ここからは見るまでの話。Amazonで原作漫画の1話が読めるんだけど、設定を知らずにこれを読んでもよくわかんないし、あんまり面白いとも思えなかったのです。この時点では正直見に行く気にはならなかった。見に行った決め手は超映画批評のこの一文。

結論からいうと、『ウォッチメン』とは「現実世界にヒーローをぶちこんだらどうなるか」を描いた物語である。

あ、もう一文あった。

「誰が監視者を監視するんだ?」という、本作の象徴的なキャッチフレーズは、まさに彼らの本音である。

ヒーロー物は結局大なり小なりヒーローがヒーローである理由ってのが用意されていると思うんだけど、そう言うのを抜きにして現実世界に持ってきたらどうよっていう設定だけでもうすごく面白そうな感じがする。ところで、俺はアメコミのヒーローには詳しくないんだけど、通常連中は(少なくとも1つくらいは)超人的能力をちゃんと持ってると思うので、厳密にはこの表現は正しくないのかもしれない。これに出てくるヒーローってのはただのコスプレ自警団のはずなので(本物の超人もいるけど)。
映画の展開の問題なのか俺が見落としていただけなのかはよくわからないんだけど、主人公たちヒーローは人間性能的には一般人な(特殊な訓練をしているとしても)わけで、たまに本当に超人の動きをしているシーンが混じってたりするのがよくわかんなかったりする。例えば冒頭(OP前)の窓から投げ捨てるシーンとか。俺は本物の超人は青い人だけだと思って見ていたんだけど、そんな感じでなんかときどきしっくりこないところがあったんだよな。そういうのは原作読めばわかるものなんでしょうか。
ヒーローを引退してからの生活に満足できていなさそうなナイトオウル(2世の方ね)とか、ヒーローをやめることができないロールシャッハとかに何となく現代の退役軍人問題がオーバーラップしてる感じがするんだけど、まあ関連する知識とかもないので感じただけと言うことで。
映画全体を通して考えると話の冗長性が非常に高いと思う。あ、いや冗長性じゃなくて、モジュール独立性かな。要するに本筋に全く関係ない(それらが相互に絡み合うこともない)話が多かったと。ロールシャッハの刑務所エピソードなんかは端折ってもまったく話に影響を与えない(エピソードの積み重ねでのクライマックスの盛り上げとかもない)、完全なサイドストーリーじゃねーか、とか。主人公連中の恋愛要素とかもあんなに時間をさかず、もっとさらっとやれば十分(これはさすがにまったく不要とは言えないけど)なんじゃないか、とか。本筋だけ取り出してみれば非常にシンプルで45分くらいで終わっちゃいそうな話なんだけど、それをいろんなサイドエピソードでふくらましての2.5時間だと思う。だれなかったのは終始スピード感のある展開というかテンポの良いシーン回しというか、そんな感じの演出に寄るところが大きいんじゃないかなーと。
あとちょっと痒いのは、「誰が監視者を監視するんだ?」と言う感じのエピソードは全然出てこないところ。確かに結末のエピソードがそういうメッセージを表現していると言えばそうなんだけど、俺が期待してたのはもっとこう、DR.マンハッタンの記者会見的な方向だったんだよなー。実際ヒーロー禁止法案が通る前後のあたりのエピソードがもうちょっと欲しいかなーって感じがする。あとはミニッツメンが創設されたころのエピソードとかも。そう言う意味でサイドエピソード用の穴がいくらでもあるので、これ日本でヒットしたら(キャラ的にはともかく話的には)同人受けするだろうなーって感じがすごくする。
とまあだいたいこんな感じかなー。繰り返しになるけど面白かったんだよ。そこはまあ文章のバイト数とかで判断してもらえれば、と。つまんない映画だったら1行で終わるわけだし。